リリースは来年後半?Windows Vista と同時?
Microsoft が出した白書によると、Internet Explorer 7(以下、IE 7)が出るのはまだちょっと先のようですね。現在、Windows XP Service Pack 2(以下 SP2)と、これまで Lonhorn とコードネームで呼ばれてきた "Windows Vista"(来年後半にリリースされる予定の次期 Windows )のテスト版向けの
Beta 1 が Microsoft の社内向けに出ているそうで、これが
8/3 に一般のベータテスターに配布が開始されることになってます。さらに Beta 2 は今年の年末あたり(?)、
最終的なリリースは来年(2006年)の後半になるとのことです。要は Windows Vista と同時リリースになるのかな?
【 Beta 版って何?】Beta 版は、端的にいってしまえば製品化される前のテストバージョンのことです。出荷する製品に不具合が続出してはいけないので、こういうテストバージョンを何回か出して、関心のある人に中身をテストしてもらう訳です。もちろんテストを行う人は不具合を見つけたら、制作者側に問題の現象とその問題が発症する条件をフィードバックします。テスト段階に応じて Alpha 版 → Beta 版とあり、それぞれにバージョン番号がつくこともあります。"Beta 1" は Beta 版のバージョン 1 ということですね。
なんか Microsoft がこれまで言ってきた、
Longhorn とブラウザを OS レベルで一体化させて IE の単体リリースはしないだとか、
Windows XP 向けとして IE 7 のリリースを前倒しするだとかいう話からだいぶズレてきてますね。ま、良い方向(というより現実的な路線?)に大幅な方針転換するのは悪いことではありませんけど。
やはり Windows 2000 や XP SP1 以前は蚊帳の外
対応プラットホームについては巷に流れている情報通りで、Windows XP SP2 / 同 Professional x64 Edition(いわゆる 64bit 版 XP)/ Windows Server 2003 / Windows Vista のみ。
Windows 2000 や Windows XP の SP1 以前に対応するつもりはないようです。ま、XP SP2 にアップグレードしろということなんでしょうけど、手元のマシンの中にある大量のアプリケーションの動作確認と修正をやるのは面倒ですし、だいいちそんな余裕なんてないので、 僕のような 2000 や XP SP1 を使う輩は IE 6 か Firefox を使えということなんでしょう。
Firefox を使うから別にいいですけどね。(^ ^;)
IE 7 の注目機能
なお白書に書かれている IE 7 が実装予定の主な目玉機能は以下の通り。
- セキュリティ ステータスバー
- フィッシング対策
- スパイウェア対策
- パスワード等のプライバシー情報管理の強化
- タブブラウジング機能
- ツールバーに検索ボックスを設置
- ユーザーインターフェイス(UI)の改善
- 印刷機能の改善
- RSS リーダー
- CSS 2 への対応
- 透過 PNG 画像への対応
どの機能も重要ですが、Web ページの閲覧がメインの一般的なユーザーにはタブブラウジング機能と検索ボックス、RSS リーダーあたりが目に見えて変わるところでしょうね。
タブブラウジング機能
これについては今さら何も語ることはないでしょう。言わずと知れたタブ切り替え機能です。先日、
IE 6 をタブブラウザにできるという MSN Search Toolbar がリリースされましたけど、あれは MSN の機能を利用する必要がない者にとっては著しく無駄なスペースを取らせてしまう上に MSN Search Toolbar そのもののシェア拡大が目的なんだろうということで散々に叩かれていましたね。(笑) そんな中途半端なものではなく、今度はちゃんとした形で実装されるようです。でも、それでも、みんな Sleipnir や Donut を IE 7 の上に結局 被せそうな気がするのは僕だけでしょうか?(^ ^;)
検索ボックス
検索ボックスは Firefox や
Sleipnir(スレイプニル)なんかのように、アドレスバーの右端に付くサイト検索用のテキストボックスのことです。どうせ、MSN しか使えないんだろうとか思いきや、どうやらちゃんと Google や Yahoo ! などから任意の検索サービスを選択できるようになっているようです。これは結構。でも、これだけだったら結局 Firefox や Sleipnir の方が高機能です。IE 7 のアドバンテージはありませんね。
印刷機能
印刷用の CSS や PDF を独自に用意されている方もいると思いますが、これまでHTML や CSS の書き方次第では、ページの右端が切れてしまうなど、Web ページが適正に印刷されないケースが多々ありました。これをブラウザレベルで簡単に補正する機能をつけるようです。企業系サイトはともかく、印刷のことまで考慮して手の込んだことをあまりしない個人サイトや中小企業・自営業サイト、非営利コミュニティのサイトなどの印刷で活躍しそうですね。これは意外と重宝しそうな機能です。
RSS リーダー
以下、ちょっとだけ小難しい話になってしまってすみません。わからない人は遠慮なく飛ばしちゃってください。(^_^;ゞ
この RSS リーダーについては ATOM なども含めた全ての現行形式に対応するほか、"Simple List" と呼ばれる MS が独自に提案する形式にも対応する予定だという情報もあります。"Simple List" はランキングとかプレイリストとか、RSS をソータブルリストとして扱えるようにする点に特徴があるんですが、Creative Commons ライセンスで仕様を公開するという割には名前空間が W3C とかではなく microsoft.com になっていたりと、相変わらず規格を自社で囲い込んでしまって標準化しないという Microsoft 的な姿勢が見え隠れしてもいます。
透過 PNG 画像にようやく対応
IE はいまだに透過 PNG に対応していません。これは IE が Firefox や Opera、Safari といった他のブラウザに対して明らかに遅れているところの一つです。もともと透過 PNG が増えてきたのは、
米 Unisys 社の GIF 画像の圧縮技術に対する特許問題が原因でした。米 Unisys 社の特許は今となってはもう有効期間を過ぎてしまっているので(2003〜2004年に失効。時期は地域ごとに差があります)、GIF 画像に対する特許料を支払う必要はなくなったのですが、画像の内容によっては透過 GIF よりも透過 PNG の方が圧縮率が良くていまだによく利用されているのが現状です。それを考えれば対応は当然といえば当然ですね。っていうか、今ごろおせーよ!といいたいのは小生だけではないはず。
CSS 2 対応
これはむしろ閲覧者よりも Web制作者にとって気になる部分ですね。これも IE が遅れている(あるいは
混乱の元凶になっている)分野の一つです。おかげで Web 制作者にとっては IE とその他のブラウザとの間で表示が乱れないようにするために様々な苦労を強いられています。一応、
CSS 2 の標準規格に準拠するというようなコメントは
Microsoft 側からは出ているんですが、この白書では Web制作に従事している人からのバグ報告によって優先順位をつけて対応していくというような内容がごく短く書かれているだけで、標準規格準拠への意識がトーンダウンしている感が否めず、果たして
どこまで CSS 2 に正確に準拠してくれるのか若干 不安になってきました。レンダリングエンジンを標準準拠モード(standards mode)と後方互換モード(quirks mode)とに分離するんじゃなかったの?
Internet Explorer 7 is prioritizing compliance to CSS standards by first implementing the features that developers have said are most important to them.(IE 7 は、開発者たちにとって最も重要とされている機能をまず先に実装していくことによって、CSS 標準に順次準拠していく。)
以上、雑駁ですが、たまには IE もネタの俎上に上げてみました。若干、私見も入ってますが、読みながら笑い飛ばして下されば幸いです。
参考
Technology Overview:
Microsoft® Internet Explorer 7 Beta 1
for Windows® Vista™
and Windows XP SP2
最近のコメント