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2007-05-18

CSS Nite LP Disk 3 観戦記 - 補

もう一週間近く経過してしまいましたけど、CSS Nite LP, Disk 3 の雑感です。

重要なことは概ね連載の方に書いたつもりですけど、端折った部分などを少しだけ、散発的に補足です。

「Web は唯一ユニバーサルデザインを実現しうる媒体」

まずは小久保浩大郎さんのセッションから、見出しに掲げた一言について。「Web 標準」同様、「ユニバーサルデザイン」という箱書きにとらわれると、一瞬、「どういうこと?」と戸惑うんですが、冷静に考えてみると「なるほど」と納得させられる一言です。

ひらたくいえば、Web って、文書作成者以外のあらゆる人までもが、オリジナルの文書を自由にコントロールできる媒体だといったところでしょうか。

文書作成者が用意した代替スタイルシートとか、そういう狭い選択肢の話ではなく、エンドユーザーレベルでいえば、閲覧する媒体や形態(視覚メディア・聴覚メディア・紙メディア)を選べたり、ユーザースタイルやユーザースクリプトを使って内容やデザインを自在に変えてみたりできる。

また、その間を仲介する、検索サービスや、ソーシャルメディア、マッシュアップサービスなんかも、オリジナルの文書(HTML)を収集・再構築して、まったく新たな付加価値を生み出したりできます。(もちろん、エンドユーザーでも DOM や XSLT などを駆使して、似たようなことを実現することが可能です。)

僕自身、すごく似たような理由でここ最近、HTML に関心を持ち続けてきたので、何かと共感させられるところの多いセッションでした。

勇気ある提言

小久保さんのセッションで個人的に感銘を受けたのは、「キャッチーな話はしません」とか、「すぐには役に立たない話かも」とか、「自分で考えてください」とか、聴講者を突き放したようなことを、躊躇なく断言されていたことです。(「勇気あるなぁ」と苦笑しながら聴いてました。)

実際、他人に答えを教えられるのと、自分で答えにたどり着くのとでは、理解度も応用力も段違いなんですよね。

「知ってる」「分かってる」と口にするのは簡単なことですが、それが見聞きしたことがあるという程度なのか、知識として頭で理解している水準なのか、スキルとして身に染みついて自在に駆使できる境地なのか、人によって習熟度にかなり差があるものです。

本当に使える知識は、日頃から自分自身に問い続けて、実践と試行錯誤を重ねてこそ得られるもの。その意味で、この辺に絡む、小久保さんの突き放した姿勢にも納得でした。

(以下、2007年5月29日追記)同様の意味で感銘を受けたのが、神森さんと河内さんの Live Coding です。それこそ、「日頃から自分自身に問い続けて、実践と試行錯誤を重ね」てないと、出てき得ない要素が随所に散らばってました。目的を達成しうる複数の選択肢の中で、なぜその手段を選んだのかを、ひとつひとつ口頭で説明できているのが、その何よりの証でしょう。あれは、僕自身も本当に勉強になりました。

「デザインからロジックを読み取る」

神森さんと河内さんの Live Coding の内容が濃かったせいで、ついつい、見落としてしまいそうになりましたけど、本来ならロジックからデザインを設計するのであって、「デザインからロジックを読み取る」というプロセスは本末転倒なんですよね。

もちろん、他人のデザインを解析する時には「デザインからロジックを読み取る」ことが必要になる場面もありえますし(リニューアル案件とか)、そもそも今回は、この形態自体もコーディングコンテストのお題の一部になっているのだから、決して問題だと言ってるわけではありません。

でも、今回の形態にとらわれて、ロジックとデザインの主従関係を見失わないようには自戒したいです。

改行・インデントの適切な案配

益子さんは、かなりこまめに改行を挿入される方のようで、CSS ならプロパティの値ごと、一部の HTML 要素も属性ごとに改行を挿入されているとのこと。

「益子方式」による改行とインデンテーション
CSSXHTML
body {
background:
#ffffff
url(/images/bcg̲body.gif)
repeat‒x
left
top;
color: #000000;
font‒size: small;
}
<input
type="text"
size="50"
id="yourname"
name="yourname"
value=""
/>

個人的にはルールが共有・履行されてさえいれば、問題ないと思ってますし、益子さんの書き方も、すごく見やすいと思います。

でも、その一方で、これだと改行がこまめすぎて、ソースコードが横に長くなるかわりに、今度は縦に長くなってしまう気がします。特にスタイルをひとつのファイルにまとめて記述してしまう場合は、全体像を把握したり捜し物をする時に、逆に不便な場面も出てくるでしょう。せめて、たとえば識別子として使われる name と id 属性や、background(-position)プロパティの left と top 値など、同種の属性や値は同一行にまとめてしまう方がいいかも...なんて思いました。そのあたりは、僕も自分なりにほどよい案配を模索してみようと思ってます。

限られた条件の中でベストなものを

もう一つ、益子さんのセッションから。終わりの方は散発的に益子さんのポリシーを、標語的に披露されていましたが、その中で、ひとつ僕自身 考えさせられたのは、「与えられた時間の範囲内でベストを尽くそう」という点。

理想を追求することは際限がありませんが、一方で時間や予算といった資源は有限です。この意味で、益子さんのこのご指摘は、もう少し踏み込んで検討する価値があるように思いました。「妥協」という後ろ向きな形ではなく、「目前の条件と目的に応じた最適解の模索」という前向きな見方をしてもいいんじゃないかと。

Yahoo! Japan を W3C の HTML バリデータにかけると...

太田さんのセッションで、Yahoo! Japan を W3C の HTML バリデータにかけたら、エラーが 404個所 出てきたとスライドに出てきて、最初、HTTP のステータスコードとして "404"(「ファイルが見つからない」)を返してきたのかと、一瞬、びっくりしました。(^o^;)

いや、もちろん、この数にもビックリですけど..。すみません。ゴミのようなコメントで。(- -;;)

それにしても、つくづく、bA って、優秀な人ばかりですねぇ。

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