日本の英語教育の落とし穴
今日は職場の同僚から聞いた話で はた と気付かされたことから。
同僚の某氏曰く、ネイティブスピーカーが話しているのを聞いてると、can [kǽːn] とcan't [kǽːnt] の区別がつかない( "t" が聞き取れない)とのこと。言われてなるほど。確かに慣れないとこれはちょっと聞き分けられないかもしれないですね。
コンテキスト(文脈)で判断することもできますが、たとえば以下のような短文の前では、少々のコンテキストなど無力です。
I can do it !
I can't do it !
日本人の英語の授業なんて丁寧だから、「キャント」とちゃんと「ト」を誤解のないようにはっきりと発声しますが、これがネイティブスピーカーだとそうはいきません。中学校レベルのごく簡単な短文ですが、日本人的な英語の発音(一音一音はっきりとしゃべるやり方)に慣らされてしまうと「えっ、できるの?できないの?どっち?!」とパニックになってしまうこと、請け合いです。
実は can と can't の間では明確なアクセントの置き所の違いがあって、ネイティブスピーカーでなくても、馴れてさえくればちゃんと日本人の耳でも違いはわかるようになります。(ちなみに聞き取りにくいのは主に米語の話。British English の場合は "t" はそれほど聞き取りにくくはないはずです。)聞き分けるポイントは次の通り。
1)ǽ という曖昧母音をより強く発声するのが can't。
(逆に日本人が "can't" ではなく "can" だということを明確にするためにわざわざ "can" をはっきり発声すると、ネイティブに "can't" だと誤解されることがあります。このあたりで聞き取る時・話す時の重点が、ネイティブと日本人との間で決定的に違うことが浮き彫りにされます。日本人は "t"、ネイティブは "a" に聞く時・話す時の重点を置いているわけですね。)
2)末尾の "t" は一瞬タメを作るような感じになる。
(「きゃんッ」のような感じ。ただ実はごく小さく "t" を発声していることも少なくない。これは馴れると結構聞き取れます。)
3)多くの場合、I can do it. の場合は "I" に、I can't do it の場合は "can't" にアクセントが来る。このようにコンテキストの中でも抑揚が変わる。
こういうのって、コミュニケーションに深刻な影響を及ぼすので学校でも取り上げてもらいたいものですが、なかなかちゃんとやってるところってないもんだと気付かされました。
| 固定リンク
「[生活]教育」カテゴリの記事
- 境祐司さんと対談(2007.06.07)
- もんたメソッドと高橋メソッドは使い方が問われる(2007.03.30)
- 「大化改新 ー隠された真相」の印象操作(2007.02.04)
- いじめ問題は直近の大人の対応こそ重要(2006.11.12)
- 日本の英語教育の落とし穴(2005.11.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
はじめまして。
can と can'tは、やはりアクセントで聞き分けるのですね。
リズムで英語を聞くことに大切さを再認識しました。
究極、リズム(イントネーション)さえあっていれば、発音が少々おかしくても、英語は通じるのでは、などと思ったりします。
投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2012-01-13 02:26